味噌みそと史料 『厨事類記』

『厨事類記』

『厨事類記』 公家の御膳で使われた味曽

 

『厨事類記』は日本最古の料理書の一つといわれ、平安末期から鎌倉期末にかけての公家の御膳の旧儀故実(きゅうぎこじつ)を伝えた書物です。
1295年(永仁三年)の記述が最も新しい記述となっています。

 

膳のメニュー等、簡単な挿絵も入っていて、当時の公家の食膳の様子がうかがえます。

 

汁物に味曽の字、醤類も見つかりました。

 

『厨事類記』
 
窪器物。醤類也。

老海鼠ハ。或保夜ツクリカサネテモルベシト云々。或説。方ニツクリテモル。或老海鼠醤云々。無老海鼠之時ハ。鮑醤鮨鮑ヲモチイル。
 
牟々跂裹。雉ノモゝキヲ醤ニシテ。ツクリテモルベシ。
 
鯛醤ハ。ツネノゴトシ。
モゝキコミナキ時。生イヲノアカミヲタゝキテモル。鳥ノクビノ皮ヲカヒジキノ様ニキリテ。三方モリ物ニヲシツク。黄皮ホソクキリ。ウチゝガヘテ。三方又上ニヲシツクベシ。
鯛ヒシホナキ時。生魚ノミヲタゝキテモル。タヒノカハヲ三方ニカヒシキノ様ニ切テ盛。物ニヲシツク。キカハヲナジ。
 
追物汁菜焼物。
 …
寒汁實。
與利實トテ。カサネ皮ノウヘノスキタルミヲカマボコノミノゴトクヲロシテカサネ。カハヲウスク切カサネテ。三枚バカリニソノミヲ中ニ入テ。一ヲバ左ニ。一ハ右ニ。中フトニヨリテ。サラニ青カヒジキシキテ。二ヲナラベテモルベシ。ソノソバニタチバナノ葉。ワサビ。イタメシホ。トロゝナドモリグシテマイラス。アヘラルゝ事ハ御膳ノ儀也。或説云。寒汁ニ鯉味曽ヲ供ス。コヒノミヲヲロシテ。サラニモリテマイラス。ダシ汁 或説。イロリニテアルベシ。或説。ワタイリノシル云々。ニテアフベシ。イタメシホ。ワサビ。山ノイモヲヲロシテモルベシ。タチバナノ葉イルベシト云々。或説云。梨子ヲヲロシテグスベシ。アフルトキ。ヲロシタルナシノツユヲトリテ。カキアフベシト云々。
 
温汁。
鮑汁。鳥「月霍」。鯛汁等也。汁實ベチノサラニモリテ。追物ニ居クハヘテ供之云々。

『群書類従 巻第三百六十四 飲食部一「厨事類記」』

『群書類従 第十九集』(續群書類従完成會)

 

鯛醤は鯛に醤ひしおを和えたもののようです。
汁はありますが、ここでは汁の中に味噌を溶いた味噌汁ではないようです。

 


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