『ふろしきi敷同心御用帳 残り花、風の宿』 井川香四郎 | 小説に描かれる味噌みそ

みそと小説『ふろしきi敷同心御用帳 残り花、風の宿』 井川香四郎

『残り花、風の宿』 井川香四郎

 

『ふろしき同心御用帳 残り花、風の宿』 (学研M文庫)

 

 

 

時代小説作家、脚本家の井川香四郎(いかわ こうしろう 1957年〜)氏のふろしき同心御用帳シリーズ。

 

江戸町奉行所 八丁堀の筆頭同心 近藤信吾を中心に、信吾が出入りする舟屋の佐七、瓦版屋の栄吉、町火消しの辰五郎、鍼灸のはるかなど善意の町人たちが事件をとりまく。

 

四話収められていますが、第二話「惚れた弱味噌」は茅場町の両替商八幡屋のお内儀が殺された事件。

 

瓦版屋の栄吉は仕事がらスクープを得ようと事件の周辺を探る。栄吉はバカがつくくらい人を信じてしまのが仇で人に騙されたり、ガセネタに踊らされて偽の瓦版を出したり。それでも人を信じるところが良いところ。
この事件も殺しの第一発見者、お内儀の妹 柚子の証言を信じて下手人探し。痛い目に遭いながらも突っ走るのは柚子に心底惚れてしまったから。
瓦版屋の栄吉が柚子の正体も知らずに、惚れた弱味噌で信じて突っ走ります。

 

美しい柚子が独り者の栄吉の長屋でご飯の支度をして待っていたりと思わせぶりなのは、栄吉を利用しようとしたのか。柚子も栄吉に気があったのか。
柚子の心根が腐っていないのが救いです。

 

 


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