随筆の中のみそ『妾宅』 永井荷風

随筆の中のみそ『妾宅』 永井荷風


随筆の中のみそ『妾宅』 永井荷風

「妾宅」 永井荷風


『荷風随筆集 下』 (岩波文庫 緑 41-8)



小説家 永井荷風(1879〜1959年)の随想に「妾宅(しょうたく)」があります。1912年(明治45年/ 大正元年)発表。

荷風自身の実話ではないそうですが、珍々先生が妾宅で過ごす姿を具体的で自虐的に描いています。

千住の名産寒鮒の雀焼に川海老の串焼と今戸名物の甘い甘い柚味噌は、お茶漬けの時お妾が大好物のなくてはならぬ品物である。 


今戸は現在の台東区。浅草の北側に接する町名です。浅草近辺で有名な柚味噌の店は現代まで伝わっていないのか、わかりかねましたが、浅草七福神の一つ、本龍院 待乳山聖天(まつちやましょうでん)に名残かもしれないものがあります。

待乳山聖天では、聖天様と呼ばれる歓喜天をお祀りしていて、七福神の毘沙門天が祀られています。毎年1月7日の大般若講 大根祭りで参拝客に柚子味噌をかけた風呂吹き大根をお神酒と一緒に境内で無料で配っています。

もっともこの直会は大根がメインで、「大根は清浄、淡白な味わいのある食物としてすべての人に好まれ、しかも体内の毒素を中和して消化を助けるはたらきがあるところから、聖天様の『おはたらき』をあらわすものとして尊ばれ、聖天様のご供養に欠かせないお供物とされています。」(待乳山聖天HPより)

1月7日は七草粥の日でもありますから、春の七草すずしろ(大根)に特化してこの日に食べるんですね。

大根祭りで出される風呂吹き大根の柚子味噌は、白味噌ベースではなく黒っぽい赤みそです。

荷風が「妾宅」で「今戸名物の甘い甘い柚味噌」と書いた明治45年当時は、まだ関東大震災前で信州みそが東京を席巻する前ですから、仙台みそ江戸甘みそ(いずれにしても濃い赤褐色)がベースの柚味噌と思われます。しかもお妾さんを別宅に囲って下女までつけている珍々先生はいわば裕福でしょうから、今戸の名物といわれるほどの柚味噌はきっと高級品で贅沢品だろうと思います。


随筆の中のみそ『妾宅』 永井荷風

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