道灌

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道灌

落語「道灌」


 

「道灌」あらすじ

隠居さんと男が話しています。隠居のところにある絵を見て男がたずねます。男「えー、ところでその絵はなんの絵です?」隠「うん、これかい。これはね、えー見りゃァわかるだろう」男「わかンねえな。椎茸の親方みてえな帽子をかぶって、虎の皮の股引きはいてえ、突っ立ってる。前で女が、お辞儀してるじゃないか?」隠「うん、そうなんだ。このお方は太田道灌(室町中期の武将で歌人。江戸城を築く)だ」男「へェー、八百屋にあるね」隠「なんだい?」男「大きなトウガン」隠「大きな冬瓜じゃない。太田道灌公だよ」男「へえー、何してンです?」隠「道灌公が、あるとき狩りにお出かけになったな」男「なるほど、苦しいからね、ウン。まあ”晦日までひとつ”ってのを、”御気の毒です”って断られちゃった。借金に行ったんだね?」隠「借金じゃない。狩りというのはな、猟に行ったンだ」男「へえー、リョウにね?ふーん」隠「あー、山吹の里というから、いまの牛込辺をお歩きになっていた」男「ふーん……」隠「するてえとにわかの村雨だ」男「えー、村雨ね。あいつはね、あっしは最中より好きだよ、ウン。茶ァうまく飲ませるもの」隠「いや、食べ物じゃないよ。にわかの村雨てえのは、にわかに降ってきた雨を、村雨て云うんだ」男「あァあ、にわかに降る雨が村雨……。じゃァゆっくり降る雨がワニザメ……」隠「ワニザメってえのはない……。道灌公がお困りになって、傍らを見るてえと、一軒のあばら家があった」男「油屋って、そんなとこでやっぱり売れるンですかねえ? よくやっていけますね?」隠「アブラ屋じゃない、アバラ屋だよ。こわれかかった家のことをあばら家という」男「じゃァ、しっかりしている家を背骨屋という……」隠「言やァ、しねえよ。で、道灌公が訪ねるとニ八あまりの賤の女が出た」男「あー、家が古いから巣を食っていやがったンだね。スズメが出てきたって?」隠「雀じゃないよ。賤の女(しずのめ)だ。いやしい女が出てきたんだ」男「ああ、芋をかじりながら?」隠「芋をかじりながら出てきたからいやしいというのではない。身なりの粗末な乙女が出てきたんだ。道灌公が、雨具をと所望をすると、顔を赤くして奥へ入り、再び出てきたときには、盆の上へ山吹の枝をのせて、だしながら”おはずかしゅうございます”ってんだ」男「えー、なんで盆の上に山吹の枝を出したんで?」隠「そらァ、おまえにわからないのも無理がない。道灌公にもおわかりにならなかった。 ”余が雨具を所望するのに、何故あってこの乙女は、山吹の枝を出したのであろうな”とお考えになっていると、ご家来が ”おそれながら申し上げます。『七重八重 花は咲けども山吹の みの一つだに なきぞ悲しき』という古歌がございますから、それになぞらえて、雨具がないというお断りでございましょう” ね、道灌公がそれを聞いて、 ”あーあ、余は歌道に暗い”とおっしゃた。これからな、道灌公はお帰りになって、一心不乱にその道を勉強したな。そして末は日本一の歌人になった」男「それはなにかい。雨具がねえという断りかい?」隠「まあそうだ。傘がないというのを、その歌で断ったンだな」

男は隠居から、その歌を描いて教えてもらいますが、空が曇って村雨がやってきたので帰ります。友達「おっ、おうー、ひどい降りだ。ひどいな」男「あ。着やがったな道灌め。ヘヘッ。降られたのか?」友「借り物があってきたんだ」男「ほら、はじまりやがった。傘だろう? え、傘だろう?」友「傘はおめえ、この天気だから持ってきてらァ。これから本所の方へ用足しに行くンだけどね……帰りが暗くってしょうがないンだよ……。だからすまないけどそこに架かっている提灯貸してくンねえかな」男「提灯貸せ? なに言ってやがんでえ。提灯貸せって道灌があるかい、道灌は傘だ!」友「傘は持ってンだよ。だから提灯貸せってンだよ」男「そいじゃ、傘貸してくれってそう言えやい。そう言やァ、提灯貸してやるから」友「へんだな。しょうがねえなァ、じゃァまあいいや。”じゃァひとつ、傘貸してくれっ”」男「へへ来やがったな。畜生、てめえがな、道灌で、おれが賤の女だ。よくこれを見ろ。へへッ”お恥ずかしい”」友「なんだ、気味悪いね。なんだいこりゃァ? ななへやへ?」男「ななへやへ……だってやがらァ。七重八重だよ」友「あ、七重八重か……うん。七重八重、花は咲けども、やまぶしの、みそひとだると、なべとかましき……」男「変な読みをするない」友「都都逸か?」男「都都逸だってやがらァ、てめぇは歌道が暗いな?」友「角が暗いから、提灯借りに来たんだよ」

『志ん生の噺 1』 (ちくま文庫)より



「道灌」は若い落語家が演る前座ばなし。天下の志ん生が演じるのも驚きですが、江戸の昔から変わらぬ演出で語り継がれてきた古典です。太田道灌と零落しているが教養のある娘との故事が素材になっています。

男が隠居から教えてもらったにわか知識の歌を友達に示しますが、そこは庶民。友達も適当に「味噌一樽と…」と読んでしまいました。

隠居と男のやりとりも、男と友達のやりとりも、上記では端折っていますが、無知による聞き間違いのボケまみれ。淡々とした会話ですが笑いどころ満載です。


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