落語「馬の田楽」
「馬の田楽」あらすじ
かつては馬力が馬に車を引かせて荷物運びをしたもの。
堺の街道筋には馬の水飲み場があり、商家には手綱を結ぶ棒があった。いたずらの子供たちもその辺でウロチョロ。
商家へ御用で馬をつなげておいたら子供たちが馬の尻尾の毛を抜く遊びを始めた。そーっと1本。また1本。こんどはまとめて5本。馬もたまらずヒヒーンと動き、しっかり結んでいなかった手綱がほどけてシャンシャンとあっちへ行ってしまった。
戻った馬力は馬がいなくて大慌て。「味噌樽つけた馬ァ、どこへ行った」
子供たちに聞いてもらちが明かない。
「馬をご存知おまへんかな」「乳母は親が病気やいうて」「乳母やあらへん、馬や。なんぎな人やなあ」別の男へ聞く。
「馬知りまへんかな」「張り倒すで、馬知ってるわい。顔の長い、たてがみのある…」
「味噌樽積んだ馬は知りまへんだかな。味噌荷。味噌をつけた馬は知らんかちゅうのや」
「味噌つけた馬……アッハッハ、わしゃまだ馬の田楽は見たことないわい」
『上方落語 桂米朝コレクション〈8〉美味礼賛』 (ちくま文庫)より
上方落語の桂米朝師匠の噺では堺筋を舞台にしています。
堺の賑わい、威勢のいい馬方、味噌樽を積んだ馬、その辺で遊んでいる腕白な子供たちの情景が目に浮かびます。
上記はあらすじなのでだいぶ略していますが、しつこいくらいの馬方とのやりとりが笑えます。