味噌みそ と 正岡子規

みそ と 正岡子規

みそ と 正岡子規

 

『子規句集』(岩波文庫)

 

 

高浜虚子と河東碧梧桐編の『子規句集』

 

秋之部には柚味噌を季語として、六句。
 老僧や手底に柚味噌の味噌を點す
 柚の木兀として京極に柚味噌出づ
 我ねぶり彼なめる柚味噌一つかな
 尻焦げし柚味噌の釜や古畳
 柚味噌焼く雨の夕や菊百句
 草庵や柚味噌売る店遠からず

 

冬の部に、鷦鷯(みそさざい)を季語として一句。
 味噌桶のうしろからどこへ鷦鷯

 

 

客あり 柚味噌探し 待つ只一つ 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

われ病んで 京の柚味噌の 喰ひたかり 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

鯛もなし 抽味噌淋しき 膳の上 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

柚味噌買ふて 愚庵がもとに 茶を乞はん 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

柚味噌の蓋 釜の蓋程に 切り拔けり 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

柚味噌盡きて 更に梅干を 愛す哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

禅寺の 柚味噌ねらふや 白蔵主 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

こゝろみに 柚味噌を製す 居士二人 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

貪厨や 柚味噌残りて 鼠鳴く 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

 

木守りの 終に柚味噌と ならん哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

柚の木兀として京極に柚味噌出づ 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

江湖部屋に 頭並べる 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

小僧既に柚味噌の底を叩きけり 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

我ねぶり 彼なめる柚味噌 一つ哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

昨夜星落ち今朝柚味噌到る 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

 

柚味噌買ふて 吉田の里に 歸りけり
柚子の玉味噌の火焔を吐かんとす
老僧や手底に柚味噌の味噌を す
我ねぶり彼なめる柚味噌の一つかな
 
                   正岡子規(まさおか しき)  M29

 

老禅師 柚味噌の狂歌 詠まれたり 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

松茸の 乏しくなりて 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

冷酒や 柚味噌を灸る 古火桶 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

六句目に さし合のある 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

赤菊を そへし柚味噌の 贈物 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

尻焦けし 柚味噌の釜や 古畳 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

膳もなき 畳の上の 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

釜こげる 柚子の上味噌 つめたかり 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

柚味噌焼く 雨の夕や 菊百句 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

禁酒して 茶の道に入る 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

小包 の歪みし柚味噌 とり出しぬ 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

俳諧の 奈良茶茶の湯の 柚味噌哉 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

草庵や 柚味噌売る店 遠からず 
                   正岡子規(まさおか しき)

 

みそがらみの句があるのはうれしいのですが、柚子味噌だけでこれだけあるとは…。
柚味噌が季語で、秋です。


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