『類聚名義抄』にみる未醤ミソ
『類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう)』は11世紀末〜12世紀ころにできた漢字を調べるための辞典(字典)。略して名義抄とも呼ばれ、「仏」「法」「僧」のそれぞれ上下巻から成ります。
平安時代末期から鎌倉時代にかけての語彙を知るのに貴重な資料です。
醤に関連する食品についての説明が「僧」巻の下にあるので載せさせていただきます。
「僧」下
醤 子近メ ヒシホ
高麗醤 ミソ 未詳
味醤 谷用之 味宜 作未 ミソ
末醤 見上注
酸醤 小□ツキ 草類
赤酸醤 アカ□カチ
『類聚名義抄 僧 日本古典全集之内』(日本古典全集刊行會)
『覆刻日本古典全集 類聚名義抄 僧』(現代思想社)より
醤はひしお。
詠み方のフリガナがありますので味噌と思われるものは高麗醤、味醤、末醤の3つです。
当時3つのミソの字が使われていたことがわかります。
また、麹の原料も参考に載せておきます。
「僧」上
蘖(木の部分は米) 復「立易」メ モヤシ
蘖 不古 ヒコハエ
『類聚名義抄 僧 日本古典全集之内』(日本古典全集刊行會)
『覆刻日本古典全集 類聚名義抄 僧』(現代思想社)より
画面では文字化けしてしまうので正しいモヤシの字が出ないのですが、蘖(木の部分は米)はモヤシ、蘖はヒコバエで木の芽のことです。