『かりん』 松原敏春 | 小説に描かれる味噌みそ

みそと小説『かりん』 松原敏春

『かりん』 松原敏春

 

『かりん〈上〉』

 

 

 

NHK朝の連続テレビ小説では、1993年10月から1994年4月まで信州みその味噌蔵の娘をヒロインに描いた『かりん』が放映されました。

 

松原敏春(1947〜2001年)氏による脚本で、2006年にBSで再放送されましたが残念ながらDVDは発売されていないようです。本書は小説化したもので上下巻の2冊(1994年4月刊行う)です。

 

 

舞台は長野県諏訪湖近くにある創業文政元年の老舗の味噌蔵「小森屋」。
戦後の物資不足で大豆の供給もままならず、老舗とはいえ小森屋も火の車。
小森屋の一人娘 千晶が教育改革による男女共学の第一期として、諏訪高等女学校からバンカラな桜が丘高校に編入するところから始まります。
千晶の両親、祖父母。岡谷高等女学校から同じく編入してきた本間あかりと、同級生の田上渉、花山信太。
家族の姿や千晶の恋、卒業と同級生4人の進路と家業の景気、母の過去、父の発明、小森屋の東京営業所開設など、戦後昭和23年のGHQ支配下に、千晶たちの成長しながら人生を切り開く姿が描かれています。

 

 

ドラマは観ていませんが、すでに他界した俳優も多いなか現在活躍の場を広げているアイドルや俳優も配役されていたようで…。小説もおもしろい。

 

供給の足りない大豆の代用や、東京では液体状の味噌が供給されてとても飲めたもんじゃない味噌汁を飲んでいたり、当たり前に黄金色(信州みそですから)の味噌を食べられる現代の幸せを認識させられます。

 

下巻では小森屋が個包装用の分包機を開発しようと奮闘しますが、かつて味噌は味噌屋さんや酒屋さんで量り売りされるのが当たり前で、今日の箱型の個包装は商品流通面で画期的な包装形態として開発されたものなのだとも改めて思い出しました。
小森屋では五百匁(もんめ)=1875グラムを1袋にしています。

 


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