『付添い屋 六平太』金子茂太 | 小説に描かれる味噌みそ

みそと小説『付添い屋 六平太』金子茂太

『付添い屋 六平太』 金子茂太

 

『付添い屋・六平太 玄武の巻 駆込み女』 (小学館文庫)

 

 

鬼平犯科帳や水戸黄門などの脚本家と知られる金子成人氏(1949年〜)の長編時代小説。
当巻には4話収められており1話から順にストーリーは続いていますが1話ごとに完結しています。

 

主人公の秋月六平太は付添い屋とありますが、浪人のいわば用心棒で日銭を稼ぐ身。元は旗本の十河藩士で音羽あたり(今の文京区音羽)に住まいがあります。

 

第3話「駆込み女」は、鎌倉の東慶寺に掛込む女 お栄に、嫁ぎ先からの追手に連れ戻されないよう六平太が道中を付き添っていく話です。
女性から離婚をすることができない時代に、鎌倉の東慶寺が幕府公認の縁切寺とされていました。

 

このお栄が離縁したがっている嫁ぎ先が、江戸は本郷の味噌問屋森嘉屋。大店ではありませんが大名家にも出入りする格のある味噌問屋のという設定です。

 

江戸市中に味噌問屋は百と七、八十あるらしい。
そのうち八十ほどの問屋が本郷の大地にあった。

 

十河藩の内紛でいわれのない罪を着せられて浪人となった六平太は、浪人とはいえ自分が納得できる筋の通った仕事っぷりをしています。

 

「駆込み女」の話は、単純な離縁だけではない裏の事情がありますが、「付添い屋 六平太」シリーズは、刃傷沙汰だけでない、出来事の裏側にある人の気持ち、過去の事情などを丁寧に描いてストーリーのバックグラウンドを固めている小説です。

 


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