「白米と味噌汁は今の三倍食べよ」 内館牧子 × 島田彰夫
脚本家で作家の内館牧子氏(1948年〜)と、岡田武史、イチロー、稲森和夫、小泉純一郎、日野原重明ら著名人13人との対談集。
月刊誌『This is 読売』に1995〜98年にわたって連載されたもので、単行本は1998年刊行されました。
宮崎大学教授(当時)の島田章夫氏(1938〜2006年)との対談が「白米と味噌汁は今の三倍食べよ」です。
子供の歯が擦り減らない。柔らかいものばかり食べていて食生活がおかしい、咀嚼力がない。
食事と健康との関りを話される中で、日本人が離乳期を過ぎても牛乳を飲んでいるといずれ白内障を起こしやすくなる、という話には絶句。
今日は炭水化物ダイエットが流行っているので、米飯は少なくする人が多いようですが、島田氏に言わせればデンプンを分解するアミラーゼ活性があるのは、ヒトと限られた動物だけなのだから、日本人には米と味噌汁が主食としてしっかり食べるのが大事、と説いています。
明治初期に来日したドイツ人医師ベルツが、人力車夫の実験をするきっかけとなった話があります。
島田 それは、彼が東京から日光まで行った時に、最初は馬に乗って行った。馬を途中で六回取り替えて、十四時間かけて日光に着いたというんです。二度目に行った時は人力車に乗って行った。そうしたら、一人の車夫が十四時間半で着いちゃったというんですよ。それでびっくりして、 (中略) 食べているものはドイツ的な感覚で言えば、ろくなものじゃない。
車夫の食事内容は具体的には書かれていませんが、きっとぬか漬けの香の物もあったはずです。
粗食と言われる食事でも、持久力のエネルギーを保つのに十分足りるものなのですね。
島田彰夫氏は、東北大学農学部を卒業して医学博士でもありました。1998年1月号に掲載された対談なので、60歳当時のお話です。
対談で語られているお話は勉強になりました。
著書も多く残されており、農業や食生活、栄養素のことなど、外国からの情報やおしゃれライフスタイルに振り回されている現代日本人に、本来の日本人の食事を伝えなければという気持ちが伝わってきます。
おみそ汁と米飯。日本人として自信を持ちます。